「紗千っ!紗千!」
パタパタと足音を立てながら近づいてくる声。
息を切らし焦った表情の男の人が現れた。
「もしかして、紗千さんのお父様ですか?」
「あ、はい…。あの…」
「警護を請け負っているKBGの久住健吾と申します」
久住さんが対応している。
小野田紗千の父親らしい。
ラフなシャツとパンツ姿。
「この度は、申し訳ありません。大切な娘さんに」
「そ、そんなことより、紗千は?紗千はどうなんですか!」
「紗千さんは今処置中でして…。まだなんとも…。頭を打っているので心配しているのですが…」
こうしてみると、普通の父親に見える。
借金をするようなだらしない感じは見受けられなかった。
「小野田紗千さんの関係者の方は…」
看護師さんが現れ、伺いを立てる。
処置が終わったのか。


