そして、当日。
私はボディガードに見えるようにスーツを着て、黒縁の伊達メガネをかける。
制服はブレザーだけど、スーツなんて着慣れないからなんだか変な感じ。
「今日はよろしくね。紗千さん」
「は、はい。よろしくお願いします」
上品な幸子お嬢様にたどたどしく挨拶をする。
幸子お嬢様も前も綺麗な服を着ていたけど、今日もお上品なスーツタイプの服。
そしてそれが良く似合っている。
「まるで七五三だな」
「……はい?」
ネクタイを締めながら、鹿島さんが言う。
その視線はもちろん私に向けられていて。
なんでスーツを着て七五三なわけ?
私、女ですけど。
「ほんと、鹿島さんっていちいち煩いです」
「本当のことだろ」
「もう、鹿島!あんたって、本当にもう!」
私たちを止めるのは吉沢さん。
今日は、幸子お嬢様付きのボディガードとしてついていくらしい。