クスクスと手を口元にもっていき、笑い方までも上品な幸子お嬢様。
私との違いをまざまざと見せつけられる。

がさつで、口も悪い、気品のかけらもない私。


きっと、私なんかを護らなくちゃいけなくて鹿島さんは不満なんだ。
だから私にはきつくあたったり、優しさのかけらもない。

きっとそうなんだ。




「あの、私なら本当に大丈夫ですから。お嬢様こそ、あまり出歩かれないほうがいいんじゃないですか?その…、命を狙われてるみたいですし」

「ええ、そうね。でも、本当に申し訳ないと思っているの。私のせいでって」

「問題ないです。私、怖い思いをしたって、いつまでもビクビクしているような繊細な心は持っていないので」




申し訳ないと言ったところで、なにも変わらない。
宇都木社長は、私を身代わりから外すことはしないだろうし。
幸子お嬢様を護るためならきっとなんだってするだろう。

護りたいものが、幸子お嬢様なのか、お金なのか、そこはわからないけれど。




「本当に、気にしないでください」