「あの男たちは宇都木の関係者ではなかった」
「え…」
「ただの金目当ての誘拐犯だ」
遺産の配当を巡ったものじゃなかったんだ。
そっか。
お金持ちっていろんな人からこんな風に狙われたりするんだ。
私は宇都木のお屋敷に戻っていて。
ベッドに座り、いれてもらった紅茶を飲んでいた。
お父さんには宇都木の人から連絡がいったらしく、とても心配した電話があった。
でも、私はこれ以上心配を掛けたくなくて大丈夫だって明るく答えてその電話を切ったのだ。
「警察に引き渡したし、もう心配しなくていい」
「……うん」
そう言われても、感じた恐怖は想像以上で。
鹿島さんが来てくれなかったらどうなってたかと思うとまだその恐怖の中にいるみたい。
でも、もうこれ以上鹿島さんを困らせることできない。
この人は仕事でまもってれるだけだもの。
私の心のケアまでは仕事じゃないもんね。


