世界できっと、キミだけが



「あ―あ、ひどい顔」



私の顎をグイッと持ち、打ち付けた頬を眺めながら悪態をつく。
もう少し、労わる言葉はないの?

でも、来てくれたんだ…。




「…ありが、とう」

「ふっ。素直なお前とか、気持ち悪」

「……っ」




言い返したいのに、いろんな感情が高ぶって声が出ない。
ホッとしたのと同時に襲う恐怖に、身体が震え涙が零れた。

怖かった。
この間の毒の件以上に死が身近に感じられて、とても恐ろしかった。




「…ほんと、馬鹿だな」




鹿島さんはそう言うと、黙って私の頭を引き寄せ肩に押し付けるとポンポンと頭を叩く。
私は、抵抗することなく黙ってそれを受け入れ、静かにその肩で泣いた。


鹿島さんの姿を見たら、安心したの。
口が悪くて、礼儀知らずで、最高に嫌な奴。


だけど、仕事には本気でだからこそ、私を助けてくれたんだろうけど。



仕事でだとしても、嬉しかった。