そして、勢いよく今度はこちら側に身体ごと吹っ飛んできたのだ。
「な、なんだ!」
もう一人の男が怯んで後ずさる。
吹っ飛んだ男の向こう側、扉のところに人影が現れた。
その人物を見た時、私の心はホッと安心する。
「――鹿島さん……」
「な!?宇都木の奴か!」
男は焦ったように声をあげ、側にあった金属バットを手に取った。
そのまま鹿島さんに向かって振り上げていく。
「このやろおおおお!!!」
自棄になっているような男の様子。
鹿島さんは全く怯んだ様子も見せずバッドを軽くよけると、男の勢いを利用ししなやかな動作で男を地面に叩きつけた。
男は気を失ったのか、倒れたまま起き上ってこない。
あまりに一瞬の出来事で、私は呆然としていた。
「……これに懲りたら勝手な行動は慎むんだな」
「…え」
鹿島さんはスーツのしわを伸ばすように払うと、私の側にしゃがみ込み縄を外してくれる。


