だったら、やっぱり幸子お嬢様のふりをするしかない。
私は気持ちを落ち着かせて、幸子お嬢様としてここにいることに決めた。
「こんな事をしても無駄です。例え、お父様があなたたちに身代金を渡したとしても、逃げ切れるはずがありません」
「それが大丈夫なんだなぁ。俺たちには、強力な後ろ盾があるのさ」
「後ろ盾……?」
なにそれ、それ程の協力者がいるってこと…?
そのおかげで、すごく余裕そうに見える。
全てが成功すると踏んでいるような。
「さぁて。証拠写真でも撮ろうか」
男が喉を鳴らしながらポケットからスマホを取り出す。
そして、縛られている私に向けた。
「もう少し、怖そうな顔してくれねぇとな」
「あ、あなたたちには屈しない!」
必死で虚勢を張る。
幸子お嬢様だったら本当はどうするかなんてわからないけど。
「威勢がいいお嬢様だ」
男はそう言いながら足を振り上げ私の肩を蹴り上げた。


