「…う……」
いつの間にか気を失っていた私は、ぼんやりと覚醒していく。
ここは、どこだっけ…、私どうしたんだっけ……。
ぼんやりとして、自分の状況が理解できない。
「目ぇ覚ましたみたいだな」
その時、見知らぬ野太い声にビクッとする。
その声で、なにが起きたのかを瞬時に思い出した。
私、誰かに攫われて…!
「な、あ、あんたたち…なんなの?」
震える声で叫ぶ。
腕は後ろで縛られているみたい。
「なんで宇都木グループの社長令嬢があんなとこにいたんだ?それにその制服…」
「へ……?」
男は中に2人いて不思議そうに私を見る。
この人たち、私を幸子お嬢様と間違えて…。
私でいれば平気だと思ってた。
だって、だって、これまでこんなことなかったし。
間違えられたことなんてない。
生活圏は全く違うし、これからだって平気だって。


