『補習があるので少し遅れます』



用があるときにと教えられた鹿島さんの仕事用スマホの番号にそう送る。
少しして、了解、と短く返ってきた。

少しだけの罪悪感。
でも、私だって少しは自由が欲しいもんね。



「ね、裏口から行かない?」

「裏口?なんで?」

「ほら!そっちの方が近道だしさ」



怪しまれないように明るくハキハキとそう言った。
2人は首を傾げながらもわかった、と言ってくれた。
正門から出たらバレバレだもん。
うまくやらなきゃね。



そして、なんとかバレずにモックまでやってくる。
1時間だけど決めて中に入った。
菜穂と浩太と他愛ない話で盛り上がる。
中身なんてない、しょうもない話で笑い合ったり。

楽しくて。
気持ちが晴れてく。
今まで窮屈でしんどかった心が軽くなっていくようだ。



こういう時間だって必要だよね。




楽しい時間はあっという間で、決めてた1時間はあっという間だった。



「私、もう帰らなきゃ」

「え?もう?」

「うん。ごめんね!楽しかった!ありがとう」