「鹿島さんがその毒で死んじゃったらどうするのよ」

「それが俺の仕事だ。護衛対象を護るために命を落とす可能性も覚悟の上だ」



なに、それ……。
仕事だからって。
だからって、毒が入っているかもしれない飲み物を何のためらいもなく飲めるの。

怖いとか。
死にたくないとか。
そんな風に思わないの。


それが仕事だから?
仕方ない?


わかんない。



「…もう何も飲んだり食べたりしないから。鹿島さんももう何も食べたりしなくていい」

「なにをそんなに怒ってるんだ」

「怒ってない」



きっとこの人にはわかんない。
今の私の気持ちなんて。


だって、私のせいで鹿島さん死んじゃうかもしれなかったってことでしょう。



鹿島さんの事、大嫌いだし嫌な奴だって思っているけど。
だからって、死んでもいいなんて思ってない。

私、身代わりって意味が、護られるってことがどういう事か。


全然わかってなかったんだ。