「誰かのためになりたいっていうか、…竜のためになりたいっていう不純な動機でもあるんだよ」
「夢は夢だろ」
あっさりとそう言ってのける。
ちゃんとした夢だって言ってもらえてよかった。
竜なら、茶化さず聞いてくれるって思ってた。
「頑張れよ」
「うん。頑張る。これから死に物狂いで頑張るよ」
「ああ」
苦しいかもしれないけれど。
弱音は吐いてしまうかもしれないけれど。
「竜は、なんの話だったの?」
「…ああ。これ、お前に返そうと思って」
「え?あ、キラキラしたピン…。これってネクタイのピンだったんだね。男の人でもあまり選びそうにないピンだよね、キラキラしてて」
「そうだな。でも、俺には御守りだった」
竜からピンを受け取る。
それは子どもの頃に感じたようなキラキラと輝く宝石みたいな感覚はもうないけれど。


