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「竜が会いに来てくれるなんて珍しいわね」

「幸子お嬢様に、聞きたいことがあって」



俺は、紗千の家を後にした次の日、幸子お嬢様を尋ねた。
真実を確かめるために。



「聞きたいことって?」

「お嬢様のお母様の葬儀で、俺と会ったのを覚えていると言っていましたよね」

「……ええ」

「それは、本当ですか?このネクタイピンも、お嬢様のものだと…」



紗千に断りを入れて持ってきたピンを差し出しながら言う。
俺は、真実が知りたいだけだ。



「別に、責めたいわけじゃないです。俺が勘違いして、決めつけたように話したので…」

「…ばれてしまったなら、仕方ないわね」




幸子お嬢様はそう言って悲しげに笑った。



「そのピンも、葬儀であった覚えもないわ」

「そう…ですか…」




じゃあ、本当に、あの時の子どもは…。