「ちょっと待ってな…。えと、確かこのあたりに…」
お父さんはおもむろに押入れを開き中をゴソゴソと漁っている。
突然何を始めるの?
私はお父さんの突拍子もない行動に目を丸くする。
「お父さん?」
「あったあった。ほら、これ。これ、鹿島くんだろう?」
「え…?」
お父さんが出してきたのは一冊のアルバム。
そこには、一人の少年が花壇に座り込んでいる姿が写っている。
これが、竜?
確かに、面影がある。
今と比べたら随分幼い雰囲気だけど。
「確かに、俺です…。でも、どうしてこんな他人の写真…」
「他人?ああ、まあ、君は他人だったけど。ほら紗千写ってるだろ?ちょうど目を離したすきに紗千がいなくなってね。探してたら君と話してる紗千を見つけて、なんだか可愛らしくて写真を撮ったんだ」
「紗千?…どこに紗千が…」
「ん?ほら、これ、君の正面の子だよ」
お父さんが指差した先、そこには黒いワンピース姿の私。


