世界できっと、キミだけが



「鹿島くんは、本当に紗千の事想ってくれてるんだな」

「…え?」

「お、お父さん!?なに言ってるの」



想ってっていうなら私の方だし。
竜は私の事なんて。



「ああ、変な意味じゃなくて。だって、契約だって終わってるのに、こうやって心配してくれて、様子まで見に来てくれるんだ」

「それは、うん…。竜は、仕事熱心だし」




それ以上の意味なんて、ない。
期待しちゃだめだ。
私は自分に言い聞かせる。



「うーん。でも、鹿島くん。やっぱりどこかで会ってないかな?」

「竜と?お父さんが?どこで…?」

「そう言えば、以前もそんなことを言っていましたね」



そうなの?
二人が会いそうなところってどこ?




「鹿島くんは、ずっとKBGで働いてたのかな?宇都木と関わりがあった?」

「俺は、7年くらいです。もともとは父が立ち上げた会社なんです」

「お父さんが…」



お父さんはそう言って考え込んでしまった。
人の顔や名前を覚えるのが苦手なお父さん。
出てくるかな。