世界できっと、キミだけが



「…ごめ…」

「なんでお前が謝ろうとしてんだ」



私の言葉を竜が遮る。




「だって…」

「吉沢、いろいろと自供したらしい。お前が身代わりになる前から、もう裏切ってたと聞いた。だから、お前は関係ない」

「そう…なんだ…」



そんな前から…。
吉沢さんは、どうしてその道を選んでしまったんだろう。
それしかなかったのかな。
お金のために?

好きな人の側にいられる権利を捨ててまで。




「俺たちも最近までいろいろと忙しかったんだ。警察の取り調べみたいなの受けたり、宇都木とのこともあったし」

「警察の…」

「KBGの社員の起こしたことだからな。でも、もう落ち着いた。久住さんもかなり落ち込んでたけど、また一から始めようってやる気になってる」

「そっか…。私、なにも知らなかった」



私はただ日常に返って。
なにも知らずにただ、会えないのが寂しいな、なんて。