世界できっと、キミだけが



私は急いで制服を着替えてお茶の用意をする。
リビングから、なにを話しているかははっきりと聞こえないけど、お父さんと竜が話しているのが聞こえた。



「おまたせ。竜はコーヒーでよかった?」

「ああ。ありがとう」



私は竜の前にコーヒー、お父さんの前に緑茶を置いた。
お父さんはコーヒーが飲めない。
苦くて嫌いなんだって。




「鹿島くんは、紗千の事心配してきてくれたそうだ」

「え?」

「宇都木との契約が途切れて、仕方ないことだとなにもしていなかったからあの事件は起きてしまった。今もKBGの社員としては勝手はできないからあまりできることは少ないが、その後の状況を聞くくらいならと思って」

「そっか…。ありがとう」

「周りで何か変わったことは起きてないか?」

「うん。大丈夫。平穏な毎日だよ」




以前と同じ日常。
だけどそこに、ちょっとした寂しさが伴うだけ。