「紗千さんの様子は、それから男性の方の…倉持さんの方も」

「両方ともまだ目を覚ましていない。紗千は頭の怪我が一番酷いが、後は軽い打ち身や擦り傷らしい。全体的に酷い怪我を負っているのは倉持さんの方だ」

「…紗千さんを庇ったんだろうな。倒れ方がそうだった」




両腕を後ろで縛られながら、紗千の上に覆いかぶさっていた。
殴られながらも懸命に護った証拠だ。
そのことが一層悔しく、俺は拳を握りしめた。




「倉持さんのご自宅には警察の方から連絡をいれてくれるらしい。おそらくしばらくしたらくるだろう」

「…そうですか」

「大丈夫か?鹿島、お前が倒れそうな顔色だぞ」

「俺は…なんの為にボディーガードになったんだ…。護りたい人も護れないでなんで…」




いつだってそうだ。
護りきれない。



「今回は、俺たちは任を解かれてた。どうすることもできなかったんだ」

「でも、可能性には気づいてた!なにかあるかもしれないと!」