「女性の方は頭部を強く打ち切れたところから出血。身体にもところどころ打ち身や擦り傷が目立ちます。男性の方は全身の打撲と左腕の骨折…。男性の方が酷い怪我ですね」




医師はそう告げると頭を下げ病室を後にした。
あの後、GPSが継げていた場所に向かった俺たちを待っていたのは残酷な光景だった。

紗千に覆いかぶさるようにして倒れている倉持浩一。
紗千も倉持浩一も意識を失っている状態だった。


そこにいたのは久住さんの話を裏付けるように、吉沢で。
手には血の付いた鉄パイプを持っていた。



その彼女は、俺の知っている彼女ではなかった。




「…くそ!!」




拳を強く握りしめる。
どうしてこんなことに…。


やはり、警護をやめるべきじゃなかった。
無理やりにでも引き止めて個人的にも契約をしておくべきだった。


いや…。
契約なんてなくても、俺が警護していれば…。