吉沢さんは違う。
何の努力もしなくて。
竜の事何一つ考えていない。
ただ自分がいいように動けばいいって思って。
「黙って聞いていたけど、君はかわいそうな人だね」
「…なに。別にあんたは必要なかったのよ。御曹司っていうから何か役に立つかと思って置いてるだけ。黙っててちょうだい」
「君みたいな人、誰も愛してはくれない」
「黙れって言ってるの!」
鉄パイプを振り回し、浩一さんを威嚇する。
それは当たらなかったけれど、かなりの勢いだった。
「すべてを他人のせいにして。自分は何一つ努力もしないで、好きな人が勝手に恋に破れるのをただ待って…。敗れたのを待ってどうしようと思ってた?そこを慰めれば何とかなるとでも?自分に向いてくれるとでも思った?」
「あんたになにがわかる!」
「勘違いも甚だしいね。人はそれまでの行いをきちんと見ているよ。突然そこで優しくしたところで、わざとらしさに引かれるだけじゃない?」


