「後がなくなったのよね。あの男、黙ってろって言ったのに。証言を始めたみたいなの」

「え……」

「パーティであんたを殺そうとした男よ」

「…っ!」

「だから、後がないの。捕まるのも時間の問題。だから最後に自分の手で思い残すことのないようにやっておきたくって」




トクン、トクン、トクン。
息が苦しくなる。

だって。
どういうこと。
今の話。



それって。



「裏切り者は…吉沢さんだった…の…?」





パーティの男に幸子お嬢様の身代わりの話をしたのも。
久住さんたちが話していた、裏切り者がいるかもしれないって話。
吉沢さんが、それは竜かもしれないって私に言った。




「竜の…竜のせいにするつもりだったの…?竜に、罪をきせるつもりで…!」

「それは違うわ。別に、鹿島を犯人に仕立て上げるつもりはなかった。ただ、あんたの心をズタズタにしたかったのよ。あんたと鹿島を切り離したかったの」