見える範囲にケガはないから、頭を切ってしまっているんだろう。
竜が前事故の時に言ってた。
頭だから出血が多かったんだって。
そういうことかな…。
「浩一さん…、あの、」
「大丈夫。気をしっかり持って。どうにか脱出する方法を考えよう」
どうしてこんなことになったんだろう。
あの男たちはいったい何者でなんの目的で…。
「浩一さんの方こそ、怪我は?」
「ああ…僕は、まぁ、肩が痛い程度で大丈夫だよ」
「ごめんなさい…私を庇って…」
「紗千さんのせいじゃない。それに、結局僕より酷いケガを負わせてしまったし。女の子なのに、ごめんね」
私は首を横に振る。
浩一さんのせいじゃない。
「これは、きっと頭だから出血が多いだけで、大丈夫です」
「強がらないの。痛いでしょ。早く手当しないと…」
こんな状況なのに私の事を心配してくれるんだ。


