日常が戻って来た。
俺にとっての、日常だった生活が。


宇都木幸子お嬢様のボディーガード。
その仕事に誇りを持っている。


本来の仕事である今に、早く戻りたいとずっと思っていた。
ここが、俺の居場所であるとさえ。



それなのに。
なぜだろう。


心にぽっかりと穴が開いたような感覚は。




なにかが足りないような。
寂しさが付きまとう、不思議な感覚だ。




「鹿島…!おい鹿島いるか!?」




慌ただしく事務所の扉をあけて入ってきたのは久住さん。
今は、なんとか相続問題が収束を迎えたため、ひとまずの危険は脱したと仕事などで公の場に出るときだけの警護になっている。
宇都木にも宇都木自身に雇われている警備員もいるため、俺たちは特別な時に召集されることになっている。



そのため、こうして事務所にいる時間もあったり、宇都木関係以外の仕事もそれぞれに受け持っている状況だ。