「このドレス、買い取ったらどれくらいするのかな」
「は?」
「でも、もう血もついちゃったし買い取りだよね」
覚悟を決めてドレスの裾を思いきり引きちぎった。
「おい!」
「綺麗な布じゃないかもしれないけど、ごめんね」
「…借金増やしてどうすんだよ」
「うん。でも、いいの。お金はちゃんと働いて返せばいいんだから」
そうだ。
最初からそうしてたんだもの。
お父さんだって、こつこつ働いてちゃんと返せてた。
こんな事に巻き込まれなければ。
違う。
巻き込まれたんじゃないよね。
最終的に判断したのは、私なんだから。
「…なに考えてる」
「え…?」
ギュッと傷口を縛り上げ竜を見る。
竜は神妙な面持ちで私を見た。
「なにって…別に…」
「うそつけ。今にも泣きそうな顔してるくせに」
「それは、竜が怪我したのが…」
竜はどうして、なんでもお見通しなんだろう。


