「また…、お前の事護れないかと思った……」

「竜……」



やっぱり、やっぱり竜じゃないよ。
竜が裏切り者なわけない。

だって、こんなにも私の事を案じてくれるんだもん。
こんなにも仕事に誇りを持ってやってるのに。
それを裏切るわけない。



「ごめんなさい……」


ギュウッと抱きついて謝った。
咄嗟だったけれど、そのことで竜を傷つけてしまった。

私が竜に傷ついてほしくないって思ったのと同じように竜だって私を傷つけるわけにはいかなかったんだよね。



「竜、お願い。傷の手当てをさせて」

「…これくらい、別に平気だ」

「そんな血がダラダラ出てる人は平気じゃないの!」

「わかった。頼む」



まだ血は止まっていないみたいで新しい血が流れている。
平気だと言ったけれど、絶対にいたいに決まってる。
だって見れば竜の額にはうっすらと汗が。
痛みを我慢してるに違いない。