「竜っ!血…!」
「いいから立て!逃げるぞ!」
引っ張り上げられ、無理やりに走らされる。
戸惑いながら後ろを見ると、男と久住さんが組み合っているのが見えた。
久住さん…!
男の手からは拳銃が落とされていて、久住さんが撃たれる心配はないだろうけど、大丈夫かな…。
「急げ!足を動かせ!」
「う、うん!」
私は竜に引かれるままに倉庫のようなところに逃げ込んだ。
「りゅ、竜…!そのケガ…!」
「バカ野郎!!!」
私を庇って、といおうとしたらけたたましい怒鳴り声で叫ばれた。
ビクッと身体を震わせ竜を見ると、血相を変え今にも血管が切れそうなくらいの怒り顔。
「銃の前に飛び出して行くなんて何考えてんだ!バカか!」
「ご、ごめんなさ…」
「その前の、自分を犠牲にするような行動も!お前は…、お前は、何度…っ」
言葉を詰まらせたかと思うと、グイッと引き寄せられ竜の腕の中。
不謹慎な状況で、胸がドキドキとしてしまう。


