「でも、まだ捕まったわけじゃない。証拠だってまだ曖昧なんですよね?」

「なにかあってからじゃ、遅いのよ?」

「吉沢さんは竜の事を信じたいと思わないんですか?」



吉沢さんには私と違って仕事の立場がある。
何かが起きてからじゃ遅いっていうのもわかる。
でも、なんだか吉沢さんは竜を犯人にしたいみたいだ。



「私だったら、竜じゃないって証拠を探したいです」

「っ!私がそうじゃないって言いたいの?」

「それは…」

「もういいわ。どうなっても知らないから」



吉沢さんはそう言って出て行ってしまった。
怒らせてしまった。
吉沢さんは私の事を考えて言ってくれてたのに。

仕事として当然のことをしてたのに。
仕事って、学生の私にはわからないしがらみとか、いろいろあるんだろうな。
そんなこともわからず、酷いことを言ってしまっただろうか。


吉沢さんだって、本当は信じたいはずだもんね。
好きな人の事だもん。

ライバルではあるけど、あるからこそ気持ちはわかる。