「うそ…」



そこには、確かに私によく似た女の人が写っている。
それでも、纏うオーラというか身についた気品というか。
やっぱり見るからにお嬢様って感じの人ではあるけれど。

顔のパーツパーツを見ればとてもそっくりだ。

お父さんと同級生の父親を持つこの人。
こんな近くに自分にこんなにもよく似た人がいるなんて。




「本当に、似てるんですね」

「…ええ、顔はよく似ておりますね」

「顔、ってとこ今強調しましたよね」

「気のせいですよ」



ははは、と誤魔化すように笑う伊永さんをじとっと見つめる。
どうせ、私からは気品なんてものは出ていないだろうし、貧乏くさいってのも自覚はある。
こんなお嬢様テイストの強い服なんて似合ってないし。

顔がいくら似ていたって、本物のお嬢様と比べたら月とすっぽん。



私によく似た本物のお嬢様。
いつか、直接会える日ってくるのかな。


きっと似ているのは顔だけで、生き方も考え方もすべて違うんだろうな。