世界できっと、キミだけが



「…あんたの母さんも死んだんだろ。悲しくねぇの」

「寂しいけどね、さっちゃんにはおとさんいるから」

「おとさん…?ああ、お父さんか」



まだ子どもだもんな。
死ってもんがよくわかってねぇのか。


「おとさんんがね、おかさんの分までいーっぱい愛してくれるっていたんだよ」

「そうか」

「おとさんがおかさんにもなってニコニコでぎゅーで嬉しいの!」



なんて言ってんのか、理解できねぇ。
でも、そうか。
愛されてんだな。
子どもをそんな風に愛するような人に思えなかったけど。
人は見た目に寄らないんだな。



「でもね、いっぱい泣いたの。さっちゃん、えーんえーんってイッパイ」

「ああ、そう」

「おとさんが言ってた。がまんしちゃだめだって。泣くの我慢したらねここがぎゅーって痛くなってしんどくなって苦しくなるって」



胸のあたりをぎゅっと掴んでそう言った。
一生懸命話しているその姿を、思わずじっと見つめる。