久住さんが悪いわけでも。
依頼者である宇都木が悪いわけでもない。
そんなことはわかってる。
それでも、理解はできても納得ができないことはある。
人気のない裏口の方に回り、花壇の側で座り込んだ。
人目を避けるように、頭を冷やすため。
「おにーたん、なにしてるの?」
人気から逃げたはずなのに。
人の目から隠れたくてここに来たのに。
「…は」
「かくれんぼ?さっちゃんもね、一緒にやっていい?」
「別に、かくれんぼしてるわけじゃない」
そこに現れたのは、純粋無垢な子ども。
女の子だ。
「そうなの?じゃあ、泣いてるの?」
「は?」
「悲しいことあったんだって。たいせつな人死んじゃって悲しいんだって」
「…そうだな。でも、別に俺は泣いてない」
よくしゃべる子供。
そう言えば、久住さんが何か言っていたっけ。
宇都木社長にも小さな娘がいて、ここにきているって。
確か、幸子とか言ってたか。
さっちゃんって今言ったか。
もしかして、この子どもか?


