でも、そんな自分の想いが変わる事態が起きた。
父親が命話掛けて護った人物が、病気により亡くなったのだ。
「随分前からわかっていたみたいよ」
「若いから進行が早かったんですって」
「小さな子どもをのこして…」
ここでも人は、口々に好き勝手なことを言う。
俺はなぜか、父の後輩である久住さんに誘われ、その人の葬儀に来ていた。
「本当はいけないんだけど。依頼者側の意向でもあるんだ。竜くんを連れてくるのは」
「……なんだったんだろう」
「え?」
「父さんは、なんのために…」
残り少ない命を守るために、この先何年、何十年ある自分の人生をかけるなんて。
父は、なんのために。
ギリギリと、拳を握る。