「紗千お嬢様。その制服ではなく、一先ずクローゼットに用意してあるお洋服にお着替えください」

「え?どうしてですか?これから学校…」

「お嬢様が安全に学校に通われるために必要なのです」



安全にってなに。
登下校するだけでなにが起きるっていうの。


言葉の節々に不安を感じる。


「お急ぎください。その前に紹介する者がおりますので」

「は、はい…」



言われるままに部屋に押し戻され仕方なくクローゼットを開く。
普段まったく着ることのないお上品な服ばかりに圧倒された。


な、何を着ろっていうの!?


こんな上品な服、今まで来たことないし、キャラじゃないし。
どうしよう…。
でも、迷ってる暇なんてない。
学校に遅れちゃう。

私は適当に服を選ぶとそれに着替える。
そして簡単に身支度を整え制服を持って部屋を出た。



「では、参りましょうか」

「は、はい」



伊永さんも、なかなか押しの強い人だよね…。