誰と話してみても、つくづく自分は違う世界に生きているんだと思い知る。
想っていることも、目標も、私なんかよりずっと確かで大きくて。
それでも。
やっぱり私は元の世界に戻りたい。
怖ろしいものも、敵意も、なにもない世界。
全く無害ではないけれど、それでも、温かな場所。
「戻りたいけど…、そこに竜はいないのよね…」
身代わりが終われば、私と竜の関係も終わる。
きっと、竜はそのつもりだ。
いくら私が好きだと言っても。
「おまたせ。はい、どうぞ」
「あ…、ありがとうございます」
さしだされたグラス。
私は思わず素直に受け取ってしまう。
どうしよう。
竜もいないし。
飲みたく、ない。
もしも。
もしも…。
ギュッとグラスを握りしめた。


