親の問題で、娘にまで被害が…なんて。
それに、命の危険があるようなことがそんな簡単に起きるわけないし。


相続問題ってどれだけ大変なのかはわからないけど。
それさえ解決すれば済む話みたいだし。



「大丈夫だよ、お父さん」

――何があってもおかしくないんだ。宇都木の周りにはいい噂聞かないし。今からでも遅くないから、断るように俺から

「いいよ。もうやるって言っちゃったもん。そんなの、聞いてくれるような人じゃなかった。お父さんだって同級生ならわかるでしょう?」

――それはそうだが…



本当は不安だ。
こんな訳も分からないところに連れられて、ここで生活をしなくちゃいけないなんて。


連れてこられたのは、豪邸の敷地内に在る別棟の一室。
別棟とはいえ、普通の一軒家より大きくて広い造り。
だからこそ、余計に居心地が悪い。



――なにかあったらすぐ連絡しろよ。逃げたっていいから。借金が増える事より、お前になにかある方が俺は苦しいんだから

「わかってる。ごめんね、心配かけて。ありがとう、お父さん」