「あの…、すみません、私…」

「安心して。僕と君は初対面だよ」

「え…?」




私はドキッとして彼を見る。
倉持、浩一さん。



「とても、記憶をたどっているような感じがしたから」

「す、すみません…!」

「ははっ。元気そうでよかった。もう大丈夫そうだね」

「あ…。はい。ありがとうございました」



物腰の柔らかい人。
なんだか、お金持ちイメージとかけ離れている。
いや、これは余裕から来るものなのだろうか。



「幸子さんがこんなに可愛らしい人だとは思ってなかったな」

「え…?」



なにを言いだすの。
って、なに私はドキッとしてるの。
私じゃなくて、幸子お嬢様の事でしょ。

そんな事、言われ慣れてないから。