勘違いって…。



「まあ、お前もお前の父親も、お人好しのバカってだけの事だったがな」

「…は?」


ちょっとそれどういう意味。
私のことはともかく、お父さんのことまでバカにするなんて。

お人好しってのは当たってるけど。
私だってそう思うもん。

他人の借金を背負って、それでも愚痴も恨み言も言わずに。


「でも…、金に汚い奴らなんかより、そっちの方がマシだ」

「え……」



竜……?
金に汚い奴らって…、幸子お嬢様を狙う者たちのこと?

でも、竜がいる世界ではそんな人はたくさんみてきたんだろう。



「竜はさ、…その、なんでこの仕事を始めたの?」

「……それを聞いてどうするんだ」

「どうって、ただ知りたいの。竜の事」



だって、好きになってしまったから。
なんて、そんなことは言えないけれど。


「別に…。ただ、親の跡を継いだだけだ」

「親…?お父さんもボディーガードの仕事をしていたの?」