「あなたなんて、幸子お嬢様に似ていなかったらなんの価値もないんだから。似ているから、鹿島だってあなたを気にかけてるだけ。勘違いしないで」



唇を噛む。
そんな事、言われなくてもわかってる。
むしろ竜には、あまりよく思われてないことくらい。
だって私は似ているだけ。
竜が大切に想っているのは、幸子お嬢様なんだもん。




「ったく。鹿島の奴…。悪いな、騒がせて」

「あ……」

「いえ。鹿島は…?」

「ああ、病室に戻った。悪いな、紗千さん。あいつ態度悪くて」

「いえ……」



久住さんが、困ったように笑いながら謝る。
私は首を横に振ってこたえた。

吉沢さんに言われたこと胸に刺さって抜けない。




竜の事もだけど、それ以上に、狙われているのが私だってことも。
でも、怖くてできない。


そうだって言われたら、私……。



私が狙われる理由なんてわからない。
私は何も持っていないのに。