「今回、あなたを幸子お嬢様と間違えないように、幸子お嬢様には公の場に出て貰っていたの。もちろん護衛をつけてね」
「え……」
「それでも、あなたは狙われた。それってどういうことかわかる?」
フッと片側の唇をあげ笑う。
その吉沢さんの言葉の意味に気づきドキリと胸が騒ぐ。
「今回の犯人が狙ってたのは幸子お嬢様じゃなくて、あなたよ。小野田紗千」
そ、そんな。
なんで私が?
私が狙われるのは、幸子お嬢様に似ているからでしょう?
「ちょっと似ているからって調子に乗って身代わりなんて引き受けるからよ」
「そんな、私…」
最初、竜が私に同じようなことを言っていたのを咎めてくれたのは吉沢さんだったのにどうして。
「吉沢さんは、私のこと…」
「嫌いに決まってるでしょ!大嫌いよ、あんたなんか。あんたのせいで鹿島が傷ついてばっか」
「それは…」
「それが仕事だって言いたいんでしょう?それでも、必要以上に傷つくことないのよ」
そんなの、わかってる。
私のせいで竜を傷つけていることも、必要ない仕事までさせてしまってることも。


