竜の顔色が変わる。
それは久住さんも同じだった。



「ちょっと待て、紗千さん。それは本当か?」

「はい…。でも確証はなくて、だから、確かめたくて」

「なんでそうだとわかる?犯人だって思った決め手は?」




久住さんが慌てたように尋ねたことに応えると、矢継ぎ早に竜が尋ねる。
私は少し間をあけて答えた。



「…顔、あの時シールドが上がってて、一瞬だったけど顔が見えたの。焼き付いて離れなくて」

「顔、見てたのか…?」




切羽詰まったような鬼気迫る竜に、私は戸惑いながら小さく頷いた。




「なんで言わなかった!あの時、そんなこと一言も言わなかっただろ!」

「…っ、ご、ごめんなさい…。だって、一瞬だったから本当に合っているか自信なくて、見たって思ってるだけかもしれないって、それくらい一瞬のことだったの」




でも、その人に似た人を見て、あれは本当だったんだって確証が持てた。
だからこそ、ちゃんと確かめたかったの。