「鹿島っ!!」


勢いよく扉が開いて、焦った声が飛び込んできた。
私は慌てて竜から離れた。



「ああ、吉沢。悪かったな、後始末させて」

「……そんなこといいわよ!それより、大丈夫なの!?」



吉沢さんは一瞬の間を置いて、私を見るとすぐに竜に向き直る。
今、睨まれた……?


もしかして、吉沢さん…。



自分の竜への気持ちに気付いたら周りの竜への気持ちにも敏感になるのかしら。
私は気まずさを感じながら竜から離れた。


「問題ない。それより久住さんはまだか?」

「すぐ追いついてくると思うけど…」




竜は仕事の顔つきになって吉沢さんと話している。
私は邪魔もできず、ただ見守る。
しばらくすると久住さんもやってきた。


「紗千さん。申し訳ないけど、少し外に出て貰ってもいいかな?仕事の話をしたいんだ」

「は、はい」

「病室からは離れないで待っていてくれる?なにかあったら呼んで」

「わかりました」


久住さんに言われ、私は病室を出た。