「病院では静かにしろ、バカ」

「ば、馬鹿って…!」



竜は頭に包帯を巻いてベッドの上に座っている。
意識戻ったんだ。
口の悪さも健在。

少しホッとする。
それでも、痛々しいその包帯姿に胸が痛んだ。



「竜、…大丈夫なの?」

「あ?ああ。問題ない。頭を打ち付けて脳震盪起こして意識が飛んだみたいだけどな。頭だから出血が多かっただけで大丈夫だ」

「でも…、私の、せいでしょ…?」

「は?なんでそうなる」



竜が怪訝な顔で私を見る。
私はグッと拳を握りしめた。



「飛び出してきた女の人が、誰かに押されたって言ってた。私が、幸子お嬢様と間違えられて狙われたんじゃないの?」

「そうと決まったわけじゃない。考えすぎだ」

「でも!そう考えた方が納得いく!」




狙われる理由なんて、それしかないんだから。
そのせいで、関係のない女の人まで巻き込んでしまった。