「鹿島…!ねぇ、鹿島!」
吉沢さんの焦った声にハッとする。
慌てて運転席の方に回ると、そこには、頭から血を流し気を失っている竜の姿が。
「りゅ、竜!竜!」
どうして…。
私のせい…。
あの時、竜私の事を気にしてた。
私に、どこかに捕まれって。
だから自分の身を護ることが遅れた……?
「あまり揺らすな!気道の確保と応急処置をして救急車呼んでるから待とう。吉沢、他に被害はないか確認するんだ」
「は、はい…!」
この場所は、あまり人通りの多くない住宅街にある交差点。
私たちが乗っていた車は、ガードレールに激突して止まっている。
竜は突然ブレーキを踏んで、進路を変えようとしてぶつかっている。
なにかを避けようとした…?
「信号待ちをしていたら、突然誰かに押されて……」
横断歩道の隅で震えながら座り込んでいる女の人。
怯えたように震える声で久住さんに話している。


