そしてそんな彼女を見つけられない自分に腹が立って唇を強く噛んだ。



と同時に口内に広がる生温かい鉄の味。



気持ち悪いが今の私にそんなこと考えている時間はない。



焦りばかりがつのる。



そして自分が重要な場所を忘れていたことに気づいた。



「女子トイレだ‼︎」



あそこなら水の音がしたのも頷けるし、授業中利用する人は少ない‼︎



あんなに重要な場所を忘れていたなんて‼︎



だが、確実に瑚心はそこにいる。



脳内に瑚心の悲痛な叫び声が響く。



何度もその声を脳内でリピートしながら彼女を助けるべくひたすら走った。