少女が持っているのは1本のナイフ。



何やら水滴が伝っている。



雲が晴れ、月明かりが少女を照らす。



手に持つナイフ、月、そして少女の髪と目が紅く紅く染まっていた。



少女は何も映っていないような目で男を見下ろす。



あぁ、死に行く人間の姿はなんと儚く美しいのだろうか…



少女がそうな風にぼんやりと考えている間にも男の命は尽きようとしていた。