「なんだ、そんなことだったんだ。でもうれしい
ありがとう!」
「別に。てか、間宮さん傘もってないの?」
「うん、そうなんだ。たから、ダッシュで帰ろうと思って
エヘヘ」
「ハアー、ホントにきみは、ばかなの。傘貸すから帰ったら」


えッ!今井口くんが傘を貸すっていった?あの井口くんが。

「“あの”はよけいだから」

えッ!なんで思ってたことがわかるの。井口くんって
もしかしてエスパー。
「エスパーでもないから」

「えッ!また思っていることがわかってる。やっぱり
井口くんてエス…」

「ちがうから、間宮さんが声に出してたから、わかるだけ。
てか、”えッ!“多すぎだから。ま、いいや。一緒に帰る?」

「いやいや、そっちのほうがもっと迷惑なんじゃないの?」

「ま、そうなんだけど、こっちが困るから」

「なんで?」
「明日、図書当番でしょ。風邪引いて休まられたら
こっちが面倒だから」

「そうでした」

そう。私は運悪いことになぜか図書委員に
選ばれたのである。だけど井口くんと一緒に委員会に
入れたから、今は委員会がすごく楽しみなんだ。

「早くしないとおいていくよ」
「はーい」