〜井口くんsaid〜

今、僕の目の前にいるのは、いつも僕に『好きだよ』
って行ってくる間宮さん。

そんな間宮さんは、すごく赤い顔をして上目遣いで見てくる。

……正直言って、これはやばい。僕の言い方がちょっといつもより
怖かったのか、間宮さんの目にはうすうす涙がたまっている。

でも、僕は、なぜか分からないけどムカついた。
あの、及川一?って言うんだっけ、そいつと間宮さんが仲良く話してるのが
なんとなくだけどムカついたんだ。
その笑顔は、僕だけには見せればいいのに、と思ってしまった。
この気持ちは何なんだ?

だから、僕はほんのちょっと、いじわるをした。

間宮さんの耳もとで、

「ねぇ僕のこと、凛って呼んで?」

って言ってやった。

当然、間宮さんの反応は、すごく顔が赤かった。

そして、間宮さんは…

「り、り凛くん」

と言った。

自分から言わせてなんだけど、けっこう、破壊力が…。
だから、余裕な振りをして、

「よく出来ました」

って言って資料室を出た。