付き合って二ヶ月が経った頃、夏美が中野で一人暮らしを始めた。
ユカは最初の内は当たり前のように夏美のマンションに入り浸っていたが、しばらくすると夏美から「店長が来るからもうあんまり来ないで」と言われた。

「店長って男だよね?」
「そうだよ」
「なんで店長が夏美の部屋に来るんだよ!」
「…店長にここの部屋借りる時、保証人になってもらったの」
「だからって…そんなの職権乱用じゃん!襲われたらどうするの?」
「今の店長とは仲良しだから平気」
「こっちは全然平気じゃないよ!うちら付き合ってるんだよ!やっぱり耐えられなよ」
「じゃあ別れよう」
「えっ…」
「だってあたし今の仕事辞める気ないし、ユカだって学校辞める気ないでしょう」
「それとこれとは別だよ」「別じゃないよ。ユカとは結婚も出来ないしもう無理なの」
「嫌だよ!別れたくない!夏美がいないと生きて行けないよ…」
「じゃあ、もしあたしが死んだらどうするの?」
「一緒に死ぬよ」
「駄目だよ!そんな事言ったら!」
夏美は怒りながら泣いていた。
ユカはずっと泣きじゃくっていた。
夏美はそんなユカをしっかり抱きしめて頭を撫でてくれた。