彼女の恋人は彼女

大樹が会場に来た頃には店はだいぶ混み合ってきた。
「ダメだ!あっちの可愛い子はフェムタチだし向こうはフェム好きだし」
フロアを物色し色んな女に声をかけまくっていた優が疲れた顔で戻って来た。

ユカは何気なく入口ドアの辺りを見ると、フェムネコのアヤを見付けた。
「あれアヤじゃない?」
「なんだあいつ来ないって言ってたくせに結局、来たのかよ!」優は軽く舌うちしてアヤの方に向かった。

「アヤってやっぱ優の事まだ好きなんじゃね?」
大樹が遠目で二人の様子を見ながら言った。

「アヤは好きでも優にその気は全くないからな」

アヤは顔は普通だけどぽっちゃりというか少し太めのギャルだった。
優は自分で『超メンクイ』と言ってたし、今まで付き合った女は全員スタイル良くて美形だったからアヤが優に惚れても付き合える可能性は低かった。

「でもアヤはかなり積極的な女だから優が押されるかもな」
しばらくそんなどうでもいい話をした後に大樹が呟いた。
「俺さ来月からホル注しようと思ってんだ」
「そっか、とうとうやるのか」
「ホントはもっと早く打ちたかったし早く胸も取りたいんだ」