私はその指輪を咲希に見せたんだと思う。


智哉に家まで送ってもらい、次の日チェーンに通して首にかけて学校へむかった。


体操着に着替えた時に、咲希に見つかって、それは何だと言われ、智哉に貰った物だと言うと、咲希の顔色が変わった事ように感じたが。


気にすることではないと思った気がする。


そんなものをつけてると、体育の先生に叱られるよと咲希に言われて、それを外して、筆入れ箱に入れた。


体育の授業が終わり、教室に戻ったとき、筆入れ箱の中に指輪はなかったのだ。


必死に探してもなくて、涙が止まらなくて。


咲希が保健室へ連れていってくれた事を思い出した。


その時の咲希は一緒に探してくれたはず。


大切な指輪を無くした私は、もう、智哉には会えない。


会ってはいけないんだと思うようになっていき、智哉の存在を自分の記憶の中から消したのだ。


そして、違う町に住むよになり、咲希とも別れて、毎日辛い日々を過ごした。


この町に戻ってきたとき、直ぐに咲希から連絡がきたけど、私は咲希に戻って来たことを伝えてなかったのに。


今思えばおかしなことばかりで。


全てが咲希が仕組んだ事だとしたら、怖い。


誰も信じられなくなる。