智哉がすごいスピードで車を走らせるから、ほらね、パトカーが追ってきてると思ったら違う車。


黒塗りの厳つい車、車の中には2、3人は乗っていそう。


「安心しろ。俺は安全運転だ。」


キャー!


何が安全運転なの。


身体が傾く。


まだ、死にたくない。


「あの男たちは多分ヤクザだな。小澤直人は会社の金を使い込んでる。」


詳しく説明してくれないと、分からない。


小澤親子は犯罪に関わってるということ。


九条corporationを乗っ取ろうとしてるの。


そんな簡単に出来ないと思うけど。


キャー。


いきなりまがならいでよ。


捕まれば殺される?


嫌々それはないだろ。


「智哉、もっと、飛ばしなさいよ。」


「了解。麻都佳を守り抜くからな。俺をなめんなよ。」


今は取り合えず、逃げる事が先決。


この際なりふり構ってなんかいられない。


逃げて、逃げて、逃げぬいてやる。


20才の私の人生をここで終わらせる訳にはいかない。


悪いけど王子様と出会いってから、ろくな事がないような気がするけど。


逃げてばかりいる気もするし。