男は私から軽トラの鍵を奪い運転をし出した。


え、嘘。


免許持ってるんですか。


ボロボロの服のポケットから、免許書を出した。


良かった。


無免許じゃないくて。


「お前の家を教えろ。」


ちょっと、待って。


会社のビルの上が住まいになっていて、両親は2階で、私の部屋は3階。


両親に分からないように、この男を3階に連れて行くとしても。


こんな汚い男を部屋には入れたくないし。


「先ずはこのゴミの片づけが先だろ。何処へ持って行けばいいんだ。」


そうでした。


不燃物は不燃物の置場に、燃えるゴミは焼却場に持っていく。


軽トラを停めると、おじさんたちが手伝ってくれた。


汚い男には軽トラの中に隠れて貰う。


男は面白くないと言ったが、誰にも見られたくなかったし、正体が分からない男を誰にも紹介しょうがない。


何で、仕事初日からこんな事になってるの。


公園で浮浪者を拾って来ただなんて、誰にも言えません。